 山東省・泰山〜河南省・嵩山「僕は日本人が大好きです」 (Reporter/ダーヨウ)

10月3日 6:10 泰山駅
昨夜22時の列車に乗り、自分は上海を旅立った・・と思ったらもう泰山についていた。寝台は寝てるからあっという間である、しかし生粋の日本人でありあまり一人の旅行などをしない自分にとっては軟臥(一等寝台)でもうっとうしかった。「何故カーテンがついてないんだ!丸見えじゃないか」(後には軟臥が神の乗り物であることに気づくのだが)ともあれ泰山駅に到着!が・・寒い。Tシャツ一枚の変人など自分しかいないことに周りを見て気づく。あわててジャケットを出すがそれでも寒い、下界でこれでは山の上はどうなってるのやら知れたものではない。日が昇ると共に気温が上がってくれることを祈る。
10月3日 7:30 ホテルの一室
今回の最大の難関であると一人で勝手に思っていたホテルのチェックインを意外とあっさり済ます。国慶節だから宿が取りづらいという話はどうなった?いい意味で騙されたという事にして次の都市への移動の方法を探すことにする、鄭州に行きたいのだが切符は取れるのだろうか・・
10月3日 17:20 再びホテル
街の見学と切符入手をかねて泰安(泰山の麓の街)を歩き回った。明日の登山のことを考えず徒歩で歩きまっわたが、失敗だとあえて断言する。小さい町ではあるが日本の小さいとは基準が違う事をまざまざと思い知らされた・・泰安とはどんな街か以下に挙げる。
@歩道をバイクや自転車が疾走というか暴走している。田舎なので徒歩の人間が少ないゆえに有効利用していると良い様に解釈しておく。ちなみに車道と歩道の区別がつかないわけではないらしい(要は単にマナーが悪いだけという話もある)
Aビルと呼べるものが建っているのは(ホテルは別)、「中国電信」と「中国銀行」・・国の力は偉大だとつくづく感じる一瞬。
B中国古代三大宮殿(東洋人は〜大とかがホント好きだ)の一つ岱廟は入場料にいくばくかの金がかかるのだが・・外壁に梯子をかけて侵入しようとしてる男がいる。歩いて五分程の所に「泰安公安本部」あるというのに・・観光客だろうか?結局捕まった時の様子からすると商売でやっていたらしい。物事には限度というものがあると思うのだが。
C観光客相手のためかメインストリートは整備されている(それ以外はま、中国らしい)道の質は上げても、歩いてる人間の質を上げようとは考えないらしい
D夜は意外と明るいと油断していると、22:30に街灯が一斉に消えた。
10月4日 3:00 ホテル
登山を始める。日の出(6:00)に間に合うようにガンバロー!(普通に登れば5,6時間でいけるらしい)
10月4日 6:00 山頂にて
日の出に間に合うように途中から小走りで走ったおかげで疲れる。泰山の日の出を見ながら願い事をすると叶うと信心深いお年寄り様は信じてるらしいので、自分も一つ乗ってみることにするにする。山の上で絶叫するのは最高に気持ちがいい・・しかし周囲を見渡せば皆、黙祷をささげている。叫ばなくても良かったらしい・・どうせ日本語だから分からないだろうけどね。
10月4日 14:20 山の中腹
行きと逆の道を使い下山する。こちらが裏道と聞いて降りてきたのだが、「裏」というのが卑猥に聞こえるくらい整備がされているしバスも走っている。途中に休憩所もあり、体力に自信がなければこちらから登ったほうがいいだろう。しかし、正道こそが泰山登りのハイライトなのだ!と、「地球の○き方」に書いてあった。
10月4日 16:15 ホテル
鄭州に直接行けないことが判明したので、ひとまず済南に行くことにした。とりあえず泰山について一筆。
@泰山の正道は石で補強がされているが、中途半端にやるので余計に登りづらくなっている。狭い道の途中では座って休む方々が大量にいらっしゃるのでどうしようもないくらい邪魔である。
A物売りが山頂まで大量に存在する。ガッツのある彼らは山の中のテントに仮住みし、ひたすら観光客から金をむしりとるのだ。「山の中では稼いだ金も使い道がないだろ」という問いに彼らは「せっかく稼いだ金を何で使うんだ?」とすばらしい答えを返してくれた。金を得ることが手段の一環ではなく目的だとは。聞かなかったこよにしよう・・
B泰山の山中は携帯電話の使用可(麓の泰安では規制されていた・・規制?)
10月5日 8:00 泰安→済南バス内
中国で初めて都市間移動のバスに乗った。客が集まるまで出発しないし、途中で修理を始めるしで全く時間通りに動こうとしない。想像はしたいたがまさかここまでとは・・中国の恐ろしさを改めて実感する。しかし子供が暴れるのはどうにかならないのだろか?
10月5日 14:20 バス待合所
済南は省都と聞いていたのだが、街中が大改修工事中のためか土煙がすごすぎて都会には見えない。しかも食堂に何故かヤギがいる、まさかこのヤギも我が胃袋に収まる候補なのだろうか?「どうにかしてくれ」というクレームに対し店の返事は「うちのじゃないから知らん」とそっけない。客には見えんがな。その後、懲りもせず徒歩で某泉(済南72名泉の筆頭)を目指し道に迷う。何とかたどり着き、駆けつけ一杯ということで飲んだその水で醸造されしビールはなかなかのお味。帰りは迷わずにすみ、鄭州に一歩でも近づくために開封行きのバスに乗ることにする。
10月5日 19:00 ??
座席はゴザを敷いただけ、手かけは壊れ、故障箇所をガムテープで補強したというバス(ワゴンと言うほうがしっくりくる)。乗った瞬間にヒゲをそっている男がいるのには引いてしまったが、酒を飲んでゲロをはく、窓から小用をたすといった行為を見ていくうちに自分の中で大切な何かが壊れていくのがハッキリと知覚できる。この猿山のようなバスに乗ること四時間、周りになにもないガソリンスタンドで降ろされる。エンストした・・・「代わりが来るから大丈夫」その言葉を信じるぞ。羊が鳴き、ロバが荷車を引く2004年とは思えない地で待つこと一時間半後にバスは来た、めでたしめでたし。
10月5日 21:15 ??
また事件発生。沿道の子供のいたずらでタイヤがパンクした、タイヤが脆いのか子供がすごいのか・・運転手と車掌が子供を捕まえ、さすがに我慢の限界だったのか乗客総出で子供を小突き回している。参加したいのは山々だが相手は子供なので自重する、そこに親が登場し怒りだす。見てたのに悪戯を止めないし謝らないんだ・・その後、親の身に何か不幸が起きても誰が私を責められるだろうか?一仕事終わる頃には修理も終わり、再び開封を目指す。
10月6日 5:00 開封バスターミナル
開いてない・・早く来すぎた。昨日は23時くらいに開封に着きホテルに泊まった。「スイートにこの値段で?」と驚いたが、よく考えたら5時間ほどしか滞在してないから損した気分だ、開封の街はいろんな意味でぶっ飛びすぎてナントモ・・食事の物価は上海の7〜10分の1くらいだろうか、田舎ですと言ってしまえばそれまでだがさて・・
10月6日 7:30 鄭州→嵩山 バス内
7,8、9日の切符がないとは・・帰るのに半日以上かかるので10日に出たら4日も授業をサボることになる。流石に4日はマズイ(別に1日ならいいと思っているわけではない)と焦ると、「今晩の切符ならある」という神の声というか悪魔の囁きが聞こえ日帰りで嵩山に行くことを決意する。時間的にはまったく問題ない、ただ疲れるだけだ。
10月6日 21:20 上海行きバス内
寝台バスは楽だ。人が通路で寝てるのが邪魔だったり、ベットが笑えるくらい小さいのを除けばいたって快適である。寝て起きれば上海に着いている、このバスに乗っている人の発音は聞き取りやすい。旅行中に立ち寄った街は訛りがきついことが多く簡単な会話でも聞き返すことがたびたびあった。とりあえずここで筆をおくことにする。
後に・・
最後の最後に「駅の方向がわからないから、引き返す。降りてくれ」と上海に入ってすぐ道に放り出されるという痛い思いをしたのだが、やはり上海は都会である、まったく問題はなかった。今回あまり街の描写ができなかったのだが、正直なところそれぞれの街ごとにある程度の特色はあるのだが、町並みは画一的な部分が多かったと感じる。一つの街の中で世界ができあがってしまってい、昔ながらの街並みと近代的なビル群(群というには難がある街もあるが)を程ほどに融合させつつ、最終的には町全体を近代化しようと町のあちこちで改修工事を行っているので、言い過ぎかつ偏見が混じっているかもしれないがガイドに載るような名所以外は特色なぞない(泰安、済南、開封、鄭州のみにおいて話をしている)
こう言ってしまっては身も蓋も無いので以下に重複するかもしれないが各町の特色を簡単にあげる。
@泰安
泰山の麓に広がる町。駅前は煩雑でいかにも中国の町といった感想を持つ、しかしそこから数キロ歩くととたんに整備された町が広がる。泰山の裾野をかすめるようにして町並みが近代的になり、所々に公園などを設け植林なども多々してあるのだ。個人的な感想としては自動販売機がいやに多かった気がする。昔と今がうまく調和しているといった感がある、中国にしては落ち着いた町だと感じた。 泰山は正道と裏道が存在し、正道は石畳と石段による整備だが荒いやり方なので少々上りにくい。裏道は全面アスファルト舗装されバスも走っている。頂上はいくつか存在するがどこからの景色も山に登った疲労を癒すに足るものだろう。特に朝日は一見の価値がある、また頂上からだけではなく登山途中や麓から仰ぎ見る泰山もそれぞれ異なった趣があることを付け加えておく。
A済南
現在大改修工事中。古い建物を壊しビルを建設するためや道路の拡張・補修するのに大量の作業車が通行するのだが、交通量に道が対応し切れておらず→道の工事→交通の停滞と悪循環を起こしている。そんな中に泉などが別世界のように存在する。町の喧騒がうそのように感じられ、町の喧騒を通り抜けたからこその静寂を得られる。また、泉の水を利用した茶や酒が飲めるので興味のある方は一度味わってみるのもいいと思われる。
B鄭州
普通の街、そうとしか言いようが無い。日本で言うと駅前は地方都市レベルでその周辺はどこにでもあるような市街地になっている。(中国なので当然のごとく例外有)意外と近くに商代遺跡があるのだが、よく観察しないと遺跡に見えないという類のものである。ここから一時間ほどでいける嵩山が観光としては良いだろう、嵩山には少林寺があるからだ。誰もが名前程度は聞いたことのあるこの寺の周辺は大変観光地化が進んでいるのでアクセスも簡単である(直接少林寺へ行けるバスが出ている)。物売りのしつこさは中国でも屈指のものであると思われるが、別に武術を使ったりするわけではないので安心して毅然とした態度を貫くべし。望めば1〜10人程度で指導も受けられる、周りの人と一緒に受ければ料金も折半できるし人数が増えたからといって何かあるわけでもない。小生の場合6名で参加したが特に不満は無かった。注意点は以下の二つ
T;指導を受けたからと言って自分が強くなったと勘違いしてはいけない。数時間の練習で強くなれるほど世の中は甘くない(帰りのバスなどで壁を殴って手を傷めていたものがいた。慣れないことはやめたほうがいい)
U;詐欺まがいの素人のような先生が混じっていることがある、もしできるならば自らの目で確かめたほうが無難だ。
C開封
田舎である。以上(日本にあるようなのどかな田舎では断じてない。これ以上は慎ませていただきます)
後書きに代えて 中国という国は一口では語りきれない多面性を持っている。上記にあげた都市とて全てを見尽くしたわけではなく、あくまで全体から見れば一部に過ぎない。急速に発展している町もあるので、私が次回行っても今回と同じような感想を持つとは限らないし、ましてや別の人が行けばまったく別の感想を持つかもしれない。この国の街は悠久の時をこのまま在りそうな保守感と、今にも全てが変わってしまいそうな新進感が渾然一体となり形成されている(これも一つの多面性であろう)。上記に書かれた内容はある個人から見た一つの可能性に過ぎず、やはり自分の目で実際に見、雰囲気を肌で感じるのが一番だと思う。そのときはぜひ町並みや景色だけではなく、そこに生きる人々を見ていただきたい。危険ではあるかもしれないが大通りから一歩裏路地に入れば、そこに実際に息づく人たちの声が聞こえる。ただの観光だけではなく生の中国を感じ、そして考えていただきたい。建物などというのは入れ物に過ぎず、そこで生きる人たちこそが町そのものなのだから。 猶、この文章は事実を基に書かれてはいるが、一身上の都合により一部を柔らかく言い換え、いくつかの原文を割愛したことをここに記しておく。
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