森村:はい。じゃあ、他に何かありますか。じゃあ川村さん。もしあれだったら。川村さん、私のゼミの私のいない間引き受けてくれた、Dialog in the darkっていう。ええ。
川村:そうですね。私の場合はまず一つは、その、私のやってるのは全く見えない真っ暗な会場の中で何かが行われるって事なんですけれども、全く見えない状態で、先程、重力っていうのはどういう形でできるのかなって。我々の場合、いろいろ足元の素材を変えたりとかですね、音を指向性のあるスピーカーを使ってやってみたりとか、そういうようなことではやってるんですが。何かこう、もう少し見えない中で知覚できるような仕掛けみたいなのをやりたいなとは思ってるんですよ。ただちょっと予算が取れないっていう問題があるんですけども。
三上:あの時は杖がありましたよね。私はDialog in the darkを体験したんですけれども、基本的には暗闇なんですよ。だから杖ってのがあるじゃないですか。あれが多少、そのバランスを取れる手段かなと。杖がなかったら一歩も歩けないかもしれないな。声がしてもっていうのはありましたね。だから持つ杖じゃない代わりの、何か杖のようなものが、非物質化した杖っていうのかな、があればもうちょっと認識、距離感とかが全く失われてしまう。
川村:確かに距離感が、中のスタジオ作っていても自分で入ると距離感がなくなっちゃう。人との。そういたことは確かにあったかもしれないですね。あともう一つ、今度フランスでですね、Dialog in the darkを発案したハイネッケという人がいるんですが、その人が絡んだ形で、今度は聞こえないバージョンをやるっていうんですね。ちょっとまだはっきりと明かせないんですけれども、三上さんだと聞こえない真っ暗っていうのは会場全体を真っ暗にすれば表現できると思うんですけど、聞こえないっていうものに対して何かお考えみたいなものを。
三上:無響室でやった時は全く音の反響がないわけなんですよね。で、聞こえないっていうのは、昔、拷問で知能犯、いわゆる哲学者達への拷問で全く音の聞こえない部屋に入れたらしいんですけれども、そうすると、段々人間は聞こえなくても、聞こえるじゃないですか。そうすると段々自分の身体を意識するようになるっていうんですね。そうすると血管の流れてる音とか、もちろん脈の音とか、内に耳を澄ましていくと、そうして実は血管とかを止めることができるようになるまで訓練するんです。自殺してしまうまで。というのがあって、手紙の書簡にそういうのがあって、それが聞こえないということになると、そういうことがあるのと、ジョン・ケージがやはり聞こえないと言うことに関して、多少言及というか彼は、体の楽器のようになってる、聞こえない空間に、彼はミュージシャンでもあるし、詩人でもあるから体の中に流れてる音とかまた聞こえないと頭の中しか行き来するところがないんでそれを楽器に例えて、とかそういう人だった。
 
   
川村:一応テクノロジーは使うみたいなんですけど、今年の12月からパリで3ヶ月間開催される予定で、まあどういう形になるか、開けてみないと。
三上:皆さんも是非Dialog in the dark、ちょっと高いんですよね。
川村:頑張ります。
森村:場所さえあれば、この大学で、せっかく川村先生も来てるのでやっていただこうかなと思っているんですけど、ある程度長い期間やんないと。3日とか、2日ぐらいだったらどっかの会場借りられるかもしれないけど、1ヶ月とかということになってくると大学の箱としてはなかなかなくて、ちょっと今困ってたりもするので。一応考えてはいた。時間が段々来たんですけれども、せっかく国際の先生で、いらっしゃってる大嶋先生に何か質問もしくは感想も含めて。その手の情報系のプロフェッショナルとして。
大嶋:何か的外れなことを言ってしまいそうで恥ずかしいんですけれども、僕の方の興味ですとやっぱりサイバースペースっていう言葉、非常にこう、それと身体性とか、接合とかといったキーワードがびびっと来る感じなんですけれども、僕自身、下勉強せずに来てしまったこともあって、ちゃんとお話が理解できない部分も多かったと思うので、もしよろしければ、いわゆる電脳という話ではなくて、身体とつながっているがなかなか意識されないものとしてのサイバースペースというご説明があったので、そういうところでの、今日のテーマと絡めて言うと、重力とか方向みたいなものを考えられるかどうか。先に僕の方の下世話なイメージで語ってしまうと、マトリックスもそうだし、アヴァロンもそうだし、それから、ギブソンが前にだしてたJM Johnny Mnemonicっていう映画もそうですけど、あれはシド・ウィ−ドっていう人がビジュアルやってるんですけど、そん中でのサイバースペースの扱いっていうのは非常に縦、横がはっきりしてて、重力の呪縛から逃れられない、なんかレンガを積み替えるようなそういう感じの扱われ方をしてますよね。あれはまあいわゆるコマーシャルな映画の中でやったことだから、そういう表現になったのかもしれないけど、まあでもギブソン自身がプロダクションにタッチしてるわけですよね。だからきっとサイバーパンクとか、そういったノーションの中にあったものをどうやってビジュアライズするかって時に既にかなり重力の影響を受けていたのではないかという感想なんですけども。
高祖:そうですね。ただ僕の電脳のコンセプトがかなり卑俗なところからきているから。それを二人でかなり理論的に教えてるわけでしょ。バーチャルスペース、もっと数学的に、本当にテクノロジーとか数学に密接したところで、バーチャルスペースとかハイパーバーチャルスペースとかサイバースペースやってるから、むしろそっちの方を聞きたい。僕のコンセプトはかなりセキュラーなワードが、本当にマリファナ吸ってぼけーとしてる人の考えですから。発想が。あまり厳密な定義というよりも、もしかするとわりとさっき言った、間の世界というかそういうの一般とかなりつなげちゃってるところがあるんじゃない。例えばドゥルーズの機械上の接合とか、いろんな機械につながる、それからbody without order、いろんなタイプの生命体があるように、そういうのが知らないでつながっているというか、わりとそういうイメージで言っているんですけど。だからそういうのがもっと逆に、僕の方がもうちょっとそれを理論的にやるとどうなるかっていうのを逆に聞きたいくらいですけど。
森村:時間が来ちゃったので、この後皆さんもしくは先生方、ご都合がよければ805、この建物の8階なんですけれども、部屋をとってますので学生の皆さんにももっと議論してもらいたいので、皆さんさえ良ければ、議論を続けたいと。先生方ももう少し大丈夫ということなので、ここ3時から授業入りますので、撤収をお願い致します。どうも今日はありがとうございました。
   
 
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